2008年06月03日

決意

「沖縄の話、詳しく聞きたいんだけど」
休憩時間にそう言った私に、Iさんは目を丸くした。

あぁたが誘ったんじゃないの!
そう、突っ込みたくなったけど、Iさんがほんの軽い気持ちで言ったということは、私にも分かっていた。

Iさんは彼女が住んでいた久米島のこと、働いていたホテルのことをいろいろ話してくれた。
そして、写真入りのCD-Rを貸してくれた。

彼女の話を聞いて、CD-Rの写真を見て、
私の沖縄への思いはむくむくと膨らみ、押さえきれなくなった。

Iさんによると、トップシーズンの夏だけのリゾートバイトの子達が、毎年たくさんいるらしい。
とりあえず、私も夏の間だけ働いてみようか。
そして、続けられそうだったら、使ってくれるようだったら、もっといることにしようか。
いきなり永住はさすがに考えられないけれど、どうせなら1年くらいは住んでみたい。
でも、いくらIさんの紹介とはいえ、夏だけのバイトなんて都合良すぎやしないだろうか。
遊び半分で来やがって(実際遊び半分なんだけど…^^;)って思われないどうか。。。

それに、母はどう思うだろう。。。

母親には、6月いっぱいで仕事を辞めようと思っていること、
温泉かどこかで、住み込みで働こうと思っているということは話していた。
「それもいいかもね」
そう母は私の考えを理解してくれていた。

「会社の同期の女の子でね、沖縄のホテルで働いていた人がいるの。
4月いっぱいで会社辞めて、またそのホテルで働く事になってるんだよね。
で、一緒に行かない?って誘われたんだ。
人が足りないから誰か連れてきてって言われてるんだって。
ホテルの直ぐ隣りに寮があって、寮費が月4500円で、光熱費込みなんだって。
従業員食堂もあって、1食200円なんだって。
夏だけの短期のバイトの人も多いんだって。
ちょっと1年くらい行ってみようかと思ってるんだけど…」

明らかに本気にしてない様子で、でも最後まで私の話を聞いてくれた母は一言。

「あんた、病院はどうするの」

そう。
そうなんですよ。
問題はそれなんですよ。

実は私は、2005年の10月に、早期乳がんで手術を受けていて、今も半年に1回、経過観察のため通院している。

今更転院するのは面倒くさそうだし、それに何より、全幅の信頼をおいている主治医以外の医者に、今更診てもらうつもりはない。
かといって、半年ごとに北海道の戻ってくるのは大変だ。
さて、どうしたものか。。。

今度クリニックに行くのは6月。
その次は12月。

6月いっぱいで今の会社を辞めて、7月に沖縄に行って、12月に帰ってくる?
沖縄でやっていけそうだったら、12月にクリニックに行った時に先生に相談してみようか。

Iさんは6月の頭に沖縄に行って、10月におじいちゃんとおばあちゃんの法事があるからいったん帰ってきて、その後、また行くかもしれないし、行かないかもしれないしと、アバウトな感じだった。

でもそれは、以前働いていた事があるIさんだからであって、私の場合、そんな短期間しか働けないならいらない、って言われるんじゃないだろうか…。
それに、術側の腕は重いものを持つことができない。
そんな体で、ホテルの仕事ができるんだろうか。
迷惑なんじゃないだろうか…。

今の会社の人は、誰も病気のことを知らない。
でも、Iさんには話しておいたほうがいいだろう。

そう思った私は、病気の事も含めてIさんに相談してみた。
Iさんは、私のカミングアウトに少し驚いたようだったけど、あれこれ詮索せずに言ってくれた。
「分かった。
じゃあ、病気の事は支配人とかには言わないけど、私がよくしてもらってる総務の女の人にだけ話してもいい?
それで、身体に負担がかからない部署にしてもらえるように言ってみるから」
と。

本当は内緒にしてほしかった。

今の会社にも病気のことは話してない。
がんの手術をして、今も経過観察中だということは、やはり雇用する側にしたら、いい印象は持たないんじゃないだろうか…。
そう思うから。

Iさんがすぐにホテルに連絡してくれて、とりあえず履歴書を送ってと言われ、4月の末に郵送した。

私はすでに行く気満々で、母親も妹たちも理解してくれて、同期のコや友達にも話していた。
でも、Iさんの紹介だからといって、必ず使ってもらえるとは限らない(歳も歳だし。^^;。
やっぱり病気の事が気になっていた。
どきどきしながら連絡を待っていると、5月の頭に担当の人から採用の連絡がきた。ニコニコ
Iさんの話では、職種はフロントとレストランと客室お掃除があり、フロントは経験者じゃないと無理だから、私の場合、レストランか客室掃除のどちらかで、重いものが持てない私は、客室掃除は無理なわけで、結果的にレストランが残った。
レストランなら、大昔だけど経験があるし、仕事自体も嫌いじゃなかったから大丈夫かな?
(大丈夫というのは、私にもできるかな?という意味)
そう思っていた。

ところが、
「ホテル側としては、フロントが手薄なので、フロントをお願いしたい」
と言われた。

フロント、経験ないんですけど…。
しかも、久米島のことも全然知らないんですけど…。
それなのに、フロントなんて勤まるんだろうか。。。

Iさんは言ってた。
「からだに負担がかからない部署にしてもらう」
と。
という事は、フロントが一番からだに負担がかからない部署ということなんだろうか。
お客さんの荷物運んだりしないんだろうか…。

疑問は色々あったけれど、
「はい、ぜひお願いします」
私はそう答えた。

なるようになる。
そんな気持ちだった。



Posted by *rainbow* at 00:00
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